黄色ブドウ球菌などの細菌に感染し、まぶたが腫れる疾患です。初期にはかゆみが現れ、徐々にまぶたの赤みや腫れ、痛みを生じるようになります。軽度の場合は抗菌点眼薬などによる治療で治せる場合もありますが、腫れが強い場合には抗炎症剤や抗生物質などの内服も必要になります。また、化膿して膿がある場合には、切開による排膿を行うこともあります。膿による強い痛みは排膿することで楽になります。心身への負担が少ない治療で治すためには、軽い症状のうちに眼科を受診することが重要です。
まぶたにしこり状の腫れができる疾患です。まつげの根元には油分を分泌するマイボーム腺があり、そこが閉塞して中に脂肪がたまって腫れが起こっています。長期間かかりますが自然に治る場合もあります。しこりが巨大化した場合には、除去する処置が必要になることがあります。霰粒腫はできやすい瞼の方があり予防も重要です。
まぶたの縁が眼球の方へ向かって折れ曲がり、まつげが黒目に触れてしまっている状態です。角膜を傷付けて炎症などを起こしやすくなり、深刻な視力障害の原因になる可能性があります。先天性の眼瞼内反症は成長によって改善する場合が多いため、4~6歳まで経過を慎重に観察し、必要がある場合には手術を検討します。他に加齢によって起こりやすい眼瞼内反症があり、皮膚や眼輪筋などのゆるみをはじめ、様々な原因で生じます。まつげを抜いても同じ向きに生えてきてしまうため、成人の眼瞼内反症も症状の程度によっては手術が必要になります。
まぶたが下に垂れてしまって黒目を隠してしまい、視界が狭くなる疾患で、先天的な眼瞼下垂と、加齢によって生じる眼瞼下垂があります。軽度の場合は黒目上部にまぶたがかかってくる程度ですが、重度の場合には黒目がほとんど見えないケースがあります。加齢による眼瞼下垂は、まぶたを引き上げる眼瞼挙筋の腱膜が伸びてしまい、持ち上がる力が低下して生じることが多くなっています。また、コンタクトレンズの長期間使用や眼の手術を受けた後に生じるケースもあります。まぶたが邪魔で見えにくいため、眼精疲労などを起こしやすく、無理にまぶたを開こうと眉間や額に深いシワができたり、無意識にいつも目をすがめて怖い印象を与えたりすることもあります。下垂の程度が強く日常に支障がある場合には手術を検討します。当院では、手術を必要とする患者様に対して、連携する高度医療機関をご紹介しております。
まぶたの筋肉が痙攣して収縮し、意思に関係なくまぶたが閉じてしまう疾患です。初期にはまぶたがヒクヒク動く、光がまぶしい、目が乾くといった症状を起こし、やがてまぶたを閉じていた方が楽になり、まばたきがうまくできなくなって意思に関係なくまぶたが閉じてしまいます。ゆっくりと進行しますが、最終的には指でまぶたを上げないと目を開けなくなります。パーキンソン病などによって起こる場合や、抗うつ剤などによる副作用として起こることがあり、その場合には原因疾患の治療や処方の変更が重要です。